地域産業コース

概要

本学の従来の大学院教育では分野ごとの細分化・専門化が進んでいたため,そこでの教育は特定学問分野に係る深い専門性こそ身につけてさせてきたものの,学問分野横断的な幅広い知識と多様な視点をもった人材を必要とする地域産業・地域経済の現場のニーズに必ずしも応えるものにはなっていませんでした。この点が,地域が直面する今日的最重要課題のひとつである地域産業高度化に基づく自律的な地域経済創生の担い手を育成するにあたっての本学大学院教育の課題となっていました。

このような問題に対応するため,地域産業コースでは,岩手県の主要地域産業たる第1次産業の高度化・活性化において指導的な役割を果たす担い手を育成することを主目的として「高度農林業プログラム」,「水産業革新プログラム」を,また,第2次産業(ものづくり分野)の技術の継承と高度化,製造現場のマネジメントの担い手を育成することを主目的として「金型・鋳造プログラム」を,さらに,地域産業高度化に伴って生じる諸課題に的確に対応するとともに,地域経済をコーディネートできる担い手を育成することを主目的として「地域経済総合プログラム」を設けて,各プログラムの目的に沿った専門教育を行います。また,人文社会科学系,自然科学系,環境科学系の教員の協力による分野横断型・融合型のコース共通科目を開設することによって,地域の産業・経済を捉える際に不可欠な,幅広い専門基礎知識と多面的な観点を身につけさせるため,このようなカリキュラム体系によって地域産業高度化に基づく自律的な地域経済創生の担い手として活躍できる人材を育成します。

プログラム

高度農林業プログラム

高度農林業プログラム  本プログラムでは,学士課程で農業とその周辺の専門分野あるいは林業とその周辺の専門分野を修得した学生を主たる対象とし,地域の資源と産業を幅広い視野からトータルシステムとして捉えるためのカリキュラムを設定しております。これにより,各分野の専門性を基礎としつつ,産業間の垣根を越えた地域システムをトータルに捉える視点を持ち,農商工連携の6次産業化など地域内での付加価値創生に向け,地域の産業構造の転換と新たな産業創成を担い得る人材を育成するための教育を行います。

水産業革新プログラム

水産業革新プログラム  本プログラムは水産業に関わる基礎から実践にいたる一連の分野について横断的に学び,水産業を俯瞰する総合的な観点から三陸沿岸域の水産業の復興と活性化を図り,ひいては日本や世界の水産業の持続的発展に寄与できる専門職業人と,産業システムとしての水産業における技術革新の礎となる科学的発展に寄与できる専門人材を育成することを目的としております。すなわち,水産業を構成する生産(漁獲),加工,流通,販売という一連の連結系とそれを支える地域産業,社会,文化のいずれかの分野に専門性を置きつつも,これらの連結系を俯瞰的に理解して,総合的な視野に立って課題解決が出来る専門的職業者や研究者を育成するための教育を行います。

金型・鋳造プログラム

金型・鋳造プログラム  本プログラムでは,地域のニーズに密着しながら日本のものづくりの発展進化を願い,理論と実際の製造工程を知り,経営的センスを兼ね備えた専門的高度技術者を育成することを目的としております。
 このため,本プログラムでは,金型と鋳造に特化した科学的基礎理論だけでなく,実習やインターンシップなどにより実際の製造工程を知り,MOT科目として経営や品質管理に関する考え方を身につけ,それらを総合して課題に対処できる能力を修得させるための教育を行います。

地域経済総合プログラム

地域経済総合プログラム  本プログラムでは,地域産業の高度化に際して地域企業が直面する雇用・商取引・環境問題などへの対応をめぐる諸課題に的確に対応し,地方自治体の政策と地域経済全体を俯瞰しながら地域の企業間の連携を適切にコーディネートすることによって,持続可能で自律的な地域経済を創出していく人材を育成することを目的としています。
 このため,本プログラムでは,経済学・経営学・企業法学の専門知識と発想を融合的に身につけ,それらを総合的に活用して地域企業・地域産業・地域経済をめぐる諸問題をトータルに捉え,それらに的確に対処できる能力を修得させるための教育を行います。